知床と東京――遠く離れた2つの土地が交差する瞬間、移り変わる自然の循環とビルドアンドスクラップが絶えず繰り返される都市の間に、本質的な差異は存在せず、ただ同じ時間が流れていることに気付かされる。 流氷が豊かな海を育むことで食物連鎖を支えるように、人々は街に新たなエネルギーをもたらし、文化を築く。 生命が環境に適応しながら創り上げる生態系が環境そのものを変化させるように、都市に応じた人々の流動は新しい建築物を生み出し、その景観を変化させていく。 私たちの行動が変われば、世界もきっと変わるだろう。
ARTIST
青山翔太郎
2006年、パリの音楽レーベル兼ファッションブランドのKitsune(aka. Maison Kitsune)の黒木理也に誘われ、Kitsuneに加わる。Kitsuneを通じて、ファッションやアートといった様々なジャンルのクリエーションと融合するパリのミュージックシーンを目のあたりにし、音楽を始め、ファッションデザイン、映像制作をも手掛けるマルチなクリエイターとして独立。
2016年、サカナクション山口一郎が主宰するプロジェクト “NF” へ参加。以後、サカナクションのレコーディングにも参加し、アルバム “834.194” では、ユリイカの青山によるリミックスが収録されている。
パリコレクションの音楽や、ファッションブランドの映像音楽などにも楽曲提供を行いながら、自身のプロジェクト “Hyōgu” を立ち上げ、レーベルとして音源をリリースする一方で、ファッションの知識を活かしたモノづくりも同時に行う。
前作のアイヌ音楽とのコラボレーション作品「Ainu Utasa」に続く第二弾の今作は、「知床の自然」をテーマにTHE NORTH FACE のサポートの下、知床国立公園内でのフィールドレコーディングや撮影を行い、本作品を完成させた。
現代の和太鼓音楽の第一人者である林英哲さんを師とする和太鼓奏者の小泉謙一氏や、ミュージシャンの浮 (Buoy) が楽曲に参加し、知床の大自然のダイナミクスを音で表現している。
またTHE NORTH FACEの楽曲やサカナクションの楽曲などで仕事を共にした、Kuniyuki Takahashi氏によるリミックスも収録されている。
本作のレコードはスプラッター仕様になっており、知床の流氷をイメージした白い粒子が透明のレコードに配色されている。
Hyōgu = 表具 絵画や書などを掛軸・巻物・額装に仕立てる伝統的な技術を「表具」といい、作品の印象を左右する重要な役割を担う。 音楽におけるトラックメイキングは、ジャンルを方向づける大切な要素であり、 洋服におけるパターンと素材選びは、そのシルエットに大きく関わる役割をもつ。 古くから伝わる日本の音楽を主役に、新しい音楽の可能性を提案するレーベルとして、 そして伝統的な日本の技術、素材を主役に、現代にフィットするプロダクトを提案するブランドとして、 「Hyōgu」というレーベルとアパレルが融合したユニークなブランドは誕生した。
Hyōguのロゴは、Henri Matisseの「Dance」という作品がモチーフとなっており、 原作同様に、繊細で力強い筆使いで熱く踊る身体が描かれている。 原作は手を繋いで踊っている様子が描かれているが、 この作品では、各々が程よい距離を保ちながら別々の動きをしており、 これは現代的なコミュニティと、個性豊かな人間の集合体を表している。