福岡|天神|晴れ
Takaya:この上ないクオリティー。
今シーズンは21AWで生産した作品をアップグレードしたものがいくつかあります。
「Gradation Grid Shirt」もその一つ。
資本主義経済の盤の上で物を作る際に考えられること。
それは販売価格。
量産する場合、普通に考えれば最も支持されるであろう価格帯を目指します。
そうすると、「上質な物作りを行う」という考えは捨てなくてはなりません。
最も分かりやすいのが化学繊維の使い方です。
強度を保つために糸の芯として用い数%の表記がなされたり、60/40クロスやゴアテックスなど撥水や防水、防風などの機能として使用されたりします。
これが真っ当な使用法。
しかしながら、大量生産においては価格を下げるために安価な化学繊維の混紡率を増やすということが行われます。
化学繊維を下げてグレードを下げる。
「上質な物作りを行う」という考えには反することです。
amachi.の物作りは本当に丁寧です。
それは国内のブランドで最高峰と言えます。
その上で更なる高みへと試みられた今シーズンのアップグレード。
価格というリミッターを取っ払った状態で、amachi.の理想を追い求めた物作りが行われました。
それは、Wool 95% (Super 140's) Alpaca 4% Nylon 1%という原料と配合の数値からも見て取れます。
これほどまでに美しい佇まいは、そんな一つ一つを積み上げてきたプロセスが結晶化した光が宿っているからです。
「Gradation Grid Shirt」
COLOR:Navy
SIZE:6/L
MATERIAL:Wool 95% (Super 140's) Alpaca 4% Nylon 1%
PRICE:58, 300 JPY
amachi.
Collection 011/AW2022 “ Vertical Concept “
山岳地帯での生活を原体験にもつ私にとって
移動することは、山を登り、下りること
そして、木登りすることに象徴されるように
垂直方向へ行われる行為でありました
木登りを通して、自然の中に展開する垂直軸へ目を凝らすと
はっきりと変化してゆく植生、湿度、温度
それらが構成する個別の世界を見つけることができます
地面の高さで感じる腐植質、苔、土や鉱物の香り
そこから数センチ目線を上げたところに現れる下草
上へ行くほどに樹木の存在感が強くなってゆき
さらに上空には葉や梢のみずみずしさ、太陽の光
風の流れといった地上とは異なる世界が広がっています
垂直方向へ向かって多層的な広がりを見せる自然界
均質化した都市空間では感じる機会が少なくなった
そうした自然の営みへ思いを巡らす中で
繊細で美しい素材の質感や香り、空気の生み出すグラデーションを
一つのコレクションとして表現してみたいという思いに至りました
それぞれのピースには垂直方向へ連なる多層性
あるいは垂直軸に存在する一定の高さで感じ取ることができる情景を反映しています
“垂直”に切り取ることで、日常の意識を異化する
それが今季のコレクションの試みとも言えるでしょう